親の権利と義務

子どもが生まれたら、すぐ戸籍役場に出生届けを提出してください。結婚している場合、養育権は自動的に規定されます。未婚の場合は、各自で取り決めなければなりません。

出生届

出生はすべて戸籍役場(Zivilstandsamt)に届け出なければなりません。届け出るのは子が生まれた場所の戸籍役場ですのでご注意ください。つまり、自分が住んでいる町の戸籍役場ではないということです。

病院で出産した場合:
病院が戸籍役場に出生届を提出しますので、皆さんは何もする必要はありません。

病院以外で出産した場合:
もしかしたら自宅や別の場所で出産するかもしれません。そんな時は自分で戸籍役場に出生届を提出しなければなりません。期限は出産後3日以内です。提出する必要のある書類については戸籍役場にお問い合わせください。

知っておいて便利なこと:
スイスで生まれたからといって自動的にスイス人になることはありません。子どもにスイス国籍が自動的に付与されることはありません。

父親の認知

既婚で出産した場合:
夫が自動的に父親として登録されます。もしかしたら、夫は自分が本当に父親かどうか疑っているかもしれません。そのような場合、夫は裁判所に行き、父子関係について異議申し立てをすることができます。

未婚で出産した場合:
父親は自動的に父親として登録されません。父親は出産の前後に戸籍役場へ行き、子を認知することができます。父親が子を認知したくないこともあるかもしれません。そんな場合、母親は裁判所へ行き、子の認知を要求できます。

養育権

親は子がきちんと育つように面倒を見なくてはなりません。これは親としての権利と義務(養育権=elterliche Sorge)です。例えば、子を育て、生活費を負担しなければなりません。また、子が18歳になるまでは法的に子の代理を務めます。

結婚している場合:
両親ともに子に対する同じ権利と同じ義務を有します。

結婚していない場合:
父親がまず子を認知する必要があります。その後、両親は子を一緒に養育したい(gemeinsame elterliche Sorge)ということを任意で書面にて提出することができます。これは、父親が戸籍役場で子を認知するとき、またはのちに児童保護局(Kindesschutzbehörde, KESB)で行えます。
養育権について意見が一致しない場合は、児童保護局が決定します。
質問がある場合や援助が必要な場合は、家族相談窓口へお問い合わせください。

養育費

両親は別れても引き続き子を養わなければなりません。つまり、誰が子の面倒を見て、誰がいくら支払うか(養育費=Unterhalt)を話し合って決めておかなければならないのです。

養育費は両者が支払います。一方がもう一方より多く、あるいは少なく支払うこともあるでしょう。あるいは片方がまったく支払わなくてもよい場合もあります。これは収入がどれくらいあるのか、また子どもの世話をどのくらいしているのかによって変わります。2人の間で意見が一致しない場合は、裁判で決めることができます。

一方が負担額を支払わない場合:
相手が子にかかる費用の負担額を支払わない場合は、居住する自治体に援助を求められます。自治体はお金が支払われるように援助します。本来受け取るはずの養育費を自治体が立て替えることもあります。これをAlimentenbevorschussungといいます。